学芸員室の雑記帳

ことばで感じる老舗の姿

帝国データバンクでは、業歴100年を超える企業を「老舗」と定義し、継続的に分析を行っています。今年 8 月の時点で、当社が把握する老舗は4万409社。毎年およそ1000~2000社が業歴100周年を迎えるなか、初めて4万社を突破しました。この数は、全世界の老舗の約半数を占め、さらに世界最古の企業を有することが「老舗大国日本」と呼ばれる所以となっています。

さて、当館常設展示室テーマ展示コーナーでは、11月1日から「老舗の姿 2022」を開催しています。展示では、約4万社のデータにみる老舗の多い地域や業種など、その特性にスポットを当てました。

また、もうひとつの大きな見どころは、当社の現役調査員を対象に「知ってもらいたい老舗」のアンケートを実施し、名前の挙がった88社の中から10社を取り上げた個別パネルです。北は北海道から南は熊本県まで。鋳造や、製茶、印刷、繊維機械部品等製造業というあまり聞きなれない業種など、地域も業種も異なる老舗各社の、大切にしていることばや、転機、取り組み、展望などについて紹介しています。

会場では、その個別パネルを所在地順にずらりと配置し、創業から現在に至る100年以上の歴史とエピソードをぎゅっと詰め込んだコンテンツとしました。文字量の多い展示ではありますが、長年従業員の心をひとつに束ねてきた社是、社訓のような明確なことばからはもちろんのこと、創業のきっかけや、苦難の歴史、新たな挑戦などを紹介する文章や、その行間からは、老舗だからこそ表現できる、老舗にしか表現できない、各社それぞれの誇りや責任、謙虚で柔軟な姿勢を読み取っていただけるのではないでしょうか。

多くの方々に、パネルに記されたことばから、2022年現在の老舗の姿を感じていただけましたら幸いです。

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