先月より新メンバーを迎え、心機一転、新体制で臨もうというところ、「第6波」がやってきて未だ予断を許さない状況ですが、万全の感染対策を講じ、細々と開館を続けております。
次の展示に向けて当社のゆかりの人物について調べています。
以前、文化財指定・登録の仕事に携わっていたときに、その土地のゆかりの人物を顕彰する機会が多くありました。生誕の地・終焉の地、そして旧居跡。長くその土地に滞在して活動を行ったのであれば、ゆかりの人物として文句はありませんが、引っ越しを繰り返し、短い期間しか滞在しなかった人物を果たしてゆかりの人物と呼べるのか、そこで必要となるのはその人物がその土地で何をしたのかという視点でした。たとえ短い期間であっても、その土地で為したこと、経験したことが、その人物にとって大きな意味をもつのであれば顕彰する価値は十分あります。
自治体の文化財は地域を基点に考えますが、企業を基点にすると、企業のゆかりの人物もやはり、その企業で何を為し、経験したのかが大きなポイントになります。
時代小説家山本周五郎は当社に勤めていたゆかりの人物の一人です。わずか4年半の勤務でしたが、20代前半の多感な青年時代を当社社員として過ごし、その期間に文壇デビュー、『青べか物語』の舞台となる浦安への移住など、大きな転機を経験しています。周五郎の最後のサラリーマン生活が後の作家活動にどのような影響を与えたのか、どのような意味をもったのか、4年半を深く掘り下げていきたいと思います。