学芸員室の雑記帳

ずんばあらず

暮れ行く学芸員室からの景色

今年の開館は本日まで。

学芸員室では一人、身の回りの片づけをしたり、溜まった資料を登録したり、一年の締めくくりをしつつあります。

つい先日まで調査員になるための基礎研修を聴講し、本業の方の理解を深めてまいりました。ほんの障りではありますが、苦しみながら報告書を書き、身をもって調査員の苦労を体感した8日間でした。

史料館業務に戻り、落ち着いたところで読み始めたのが大正期の調査報告書、現在とは項目名も記載内容も異なりますが、心なしかスラスラ読めたのは研修効果です。

報告書には、登記事項の後、「沿革及び現況」という項目が続きますが、ここの文章がとにかく長く、9ページびっしり文章が続いています。今ならば、文章が長すぎてわかりずらいと突き返されそうな報告書ですが、当時の独特の固い言い回しや文章力には見習うべきところもあるかもしれません。途中に「むべなるかな」など、調査員の感想が織り込まれ、人間味溢れる報告書です。

結論の文末には、「確立を期せざるべからざるべし」とくどい表現が用いられており、反語を使って強調したい気持ちはわかりますが、「確立を期すべし」でいいのでは、と言いたくなります。他にも、「然らしむる所以たらずんばあらず」(しからしむるゆえんたらずんばあらず)など、本文の内容以外の言い回しの部分でも楽しめます。

 

この一年、来館者が少しずつ戻りつつあるなかで、新しいメンバーを迎え、ホームページをリニューアル、オンラインツアーの開催など、さまざまなことがありました。皆さまにはどのような一年でしたでしょうか。史料館では、来年も新たなイベントを企画してまいります。どうぞよいお年をお迎えください。