学芸員室の雑記帳

十館十色~企業博物館その(6)~

当館を訪れるお客様に、どのような形で当館を知ってくださったのかお聞きすることがあります。博物館や歴史に興味がある・帝国データバンクを以前から知っていた、とお答えくださる方がほとんどです。その中でまれに、企業博物館に興味があるという方もいらっしゃいます。きっかけは様々あるようですが、数ある博物館の中から当館に足を運んでくださり、いつも大変うれしく思っております。

しかし、企業博物館をテーマに雑記帳を書いている身として少々ネガティブな発言になりますが、世間一般の日常生活において「そうだ、企業博物館に行こう!」と思う機会はまだまだ少ないのではないでしょうか。

そう思うと、自分が人生で一番最初に企業博物館を訪れたのはいつだったか。記憶のある限り思い返します。博物館について学んでいた学生時代か、もしくは社会人になってからか。意外と思い出せません。なにか手掛かりはないか当館のリストアップデータを眺めていると、覚えのある電力会社の博物館を見つけ、人生最古の企業博物館訪問が小学校の校外学習だったことに気づきます。

人々の暮らしに欠かせないライフラインとして、「電気」「ガス」「水道」「通信関係」「交通関係」の5つがあります。十館十色その(4)であげたデータの通り80~90年代に企業博物館が次々と開館しました。この年代以降に小学校へ通われた方、もしくはお子さんが、校外学習としてライフラインに関する企業博物館を訪れたことが多いのではないでしょうか。まさかこんな身近にいたとは…。幼い頃から暮らしに大切なことを学べる場として、企業博物館は活躍しているようですね。

ちなみに、ガス会社の大手4社や、電力会社の大手10社のうちの8社に企業博物館があり、電源開発株式会社 J-POWERには12館もあります(発電所の資料館などを含む)。大人になってから企業博物館へ行ったことがない、どこへ行こうか迷っている方は、校外学習などで訪れたことのあるところを再訪問するのはいかがでしょう。あの頃とはまた違ったおもしろさが見つかるかもしれません。