学芸員室の雑記帳

十館十色~企業博物館その(8)~

時期不明19館を除く

“5類移行”

この大きな節目をむかえて、いろいろな人の素顔と初対面したり、街中の感染症対策の文字が減ったり、「日常がもどりつつある」の「日常」は、そもそもどんなものだったか考えつつ、満員電車の生き地獄で思い出したり、みなさんも少し肩の荷が下りたという感じでしょうか。

感染拡大の当初は多くの博物館が運営方法を問われました。すべての館が急な変更に対応できるわけではないと思いますし、この数年で閉館数は急増したのではないか?と考え、当館の企業博物館リストを参考に、最初に閉館が確認された1993年~2023年までの30年間の閉館数を確認しました。

ところが結果は意外なもので、2008年から毎年数館あるものの、コロナ禍(2020年1月~現在)は突出して増えているわけではないようです。コロナ禍で企業博物館も多く閉館しただろうと漠然と思いこんでいましたが、数値で確認することは大切ですね。

ちなみに、2023年5月時点でコロナ禍の休館が確認できた企業博物館は約30館。しかし、理由を明記していないところもありますし、改修工事のための計画的な休館もあります。また休館・再開を繰り返したり、再開後に休館していた情報を残さない場合もありますので、明確な数値を出すのは難しいでしょう。

ともあれ現時点で休館の理由が「コロナ対策」と明記しているところはわずか3館。コロナに翻弄された数年間でしたが、予約制やオンラインミュージアムを導入するところが徐々に増え、そしてこの節目に再開できたところもいくつかあるようです。ひとまず大きな壁は乗り越えられたでしょうか。

今後も当館のリストをこまめに更新し、企業博物館の動向を見守っていきたいと思います。