明日、9月1日、関東大震災から100年を迎えます。連日テレビや新聞では震災関連の報道がなされ、各博物館ではさまざまな切り口で関東大震災を振り返っています。
当館も、一企業が直面した関東大震災をテーマに4月から企画展を開催しています。会社にとって関東大震災は乗り越えるべき大きな試練であり、以後十数年にわたって9月1日を震災記念日として顕彰しています。多大な被害を慰霊し、会社の復興はもちろん信用調査を通して経済の復興を図ろうという使命のもとに努力した経験を振り返り、忘れないための一日としています。
顕彰の一環として震災1年後に本社社員208名が書いた「震災手記」には、震災当時の状況や、それぞれの想い、教訓が刻まれています。天譴説を取るもの、震災後の気の緩みを戒めるものや流言飛語に関する意見など、その内容はさまざまです。
明日から開催の国立科学博物館「関東大震災100年企画展 震災からのあゆみ ー未来へつなげる科学技術ー」にも、一部「震災手記」が登場します。第1会場第3章において大型ディスプレイシステムで展示される他、科博ホームページのオンラインコンテンツ「企業資料から読み解く関東大震災 経済を支えていた企業はそのとき」でも一部を見ることができます。
社員が記した避難の足取りがマッピングされ、見やすくインパクトある形で展示されています。また、帝国興信所が当時発行していた会社録『帝国銀行会社要録』から計上した震災前後の企業数もコンテンツとして取り上げられています。今回の展示を機に、史料館ではより詳細な分析のためのデータ入力に取り組み始めました。展示を通して資料が多くの人の目に触れることで価値が再発見され、さまざまな形で活用されていく手ごたえを感じています。
明日は社内セミナーで関東大震災100年を振り返ります。100年目の震災記念日。社員が残した記憶に思いを馳せ、防災意識を高める日にしたいです。
心緩めば
地盤も弛む
九月一日忘れずに (「震災手記」より)