これまでの十館十色で触れたとおり、企業博物館には様々な運営体制や目的、展示手法があり、その系統は多岐にわたります。そこで今回はそれら企業博物館を運営する“企業”にフォーカスしました。
博物館を運営する企業にはどのような傾向があるのでしょうか。まずは業種別にみていきたいと思います。今回は全国で企業博物館がもっとも多い関東にしぼり、運営元の企業を「TDB産業分類表」を用いて、14項目の大分類に振り分けました。
結果は、当館を含むサービス業は1割強に留まり、6割以上が製造業となりました。総務省が令和4年に発表した「令和3年経済センサス」の産業大分類別企業等数の構成比※2では、製造業は全体のわずか9%でしたので、企業数に比例しているわけではないようです。※3
BtoCのなかでも自社製品をもつ製造業は知名度が高く※4、より製品の理解を深めてもらうためのPRができるため、企業博物館をもつことのメリットが大きいのではないでしょうか。
一口に製造業といっても、食品、繊維、木材、金属…等々、モノづくりには様々な分野があります。データをさらに細かく分類すれば、企業の特性が見えてくるかもしれません。また、今回は関東圏のみ分析しましたが、他地域も同様の結果になるのか、それとも異なる結果になるのか。今後も分析を進めていきたいと思います。
※1 その他には(農業、林業・狩猟業、漁業、鉱業、卸売業・小売業、不動産業、公務、分類不可)が含まれている
※2 総務省、経済産業省「報道資料 令和3年経済センサス‐活動調査 速報集計 結果の要約」2022年5月31日
※3 総務省の集計では産業分類が13項目であり、TDB産業分類表と異なるため、製造業の割合のみ参考にしている
※4 「十館十色~企業博物館その(13)~」2023年12月29日