学芸員室の雑記帳

十館十色~企業博物館その(16)~世界のカバン博物館(前編)

浅草にある「世界のカバン博物館」は、主業であるカバンの歴史と、創業者・会社の歴史について展示している企業博物館です。先日見学をしてきましたので、その感想を2回に分けてレポートしたいと思います。

「世界のカバン博物館」は企業博物館の開館全盛期(1990~2000年代)※1より少し早めの1975年に開館しました。展示室は2フロアあり、7階は世界のカバンについて、8階が創業者と会社の歴史について展示している「新川柳作記念館」となっています。

7階の展示室の最初のパネルでは、古代からはじまったカバンの起源、発展、進化を追うことができます。壁面展示パネルの下に、同じデザインの英文パネルが設置されていました。都内で音声ガイドやキャプションに英訳が挿入されている館はしばしば見かけますが、浅草では特に外国人観光客の来館が多く、多言語対応のニーズの高さが感じられました。

展示室中央は、カバンの仕組みや技術について、デジタルコンテンツを活用して解説するコーナーとなっていました。写真にあるオーナメントには豆知識が書いてあり、持ち手には実際のカバンの素材が使われています。小さな部分ですが、自社製品の特長が生かされているように感じました。奥に進むと世界中から集められたカバンが五大陸に分けて展示されています。エリアごとに形が大きく変わるので興味深く、生活様式の違いがわかりました。(アフリカは自力で移動することが多いからか、小型で装飾豊かなものが多い印象。ヨーロッパは船や列車による旅行の大衆化により、大型のトランクが主流…など)

次回は8階の「新川柳作記念館」についてレポートします。

※1 十館十色~企業博物館その(4)~