開催中の企画展のメインはなんといっても渋沢直筆の色紙ですが、今回の展示ではその他にも地味な大発見がありました。それは、帝国興信所(現TDB)に寄稿された渋沢の文章が、あの有名な『論語と算盤』の一節の基になっているということです。残念ながらオリジナルは残っていませんが、その内容は『龍門雑誌』に転載されているため、全文を知ることができます。帝国興信所の責任として、信(信用)の力をもって腐敗した経済界を正し、基礎を盤石にすることを期待していますが、この部分が『論語と算盤』の「功利学の弊を芟除すべし」にほぼそのまま引用されています。もともと帝国興信所に向けて書かれた文章と思って読むと感慨深いです。
この情報は渋沢記念財団の方から教えていただきました。
この文章が掲載されている『龍門雑誌』の原本は、東京大学の明治新聞雑誌文庫からお借りして展示しています。さまざまな方々のご協力によって、今回の展示がより充実したものとなりました。
史料館HPのトップページからVRで展示内容をご覧いただくことは可能ですが、ぜひこの機会に展示室で、色紙や『龍門雑誌』など実物の資料もご覧ください (『龍門雑誌』の原本展示は8/21まで)。