学芸員室の雑記帳

十館十色~企業博物館その(18)~

企業博物館をテーマに雑記帳を書き始めて2年が経ちました。いつもお読みいただきありがとうございます。十館十色のシリーズは今回で一度区切りをつけさせていただきたいと思います。

手探りの状態からスタートしたこのシリーズですが、全国の館数ランキングや開館年の推移、身近にある企業博物館、VR導入館、閉館数、海外との比較、一般非公開の企業博物館、複数館運営の企業…など、当館のもつ企業博物館リストをもとに、さまざまな分析をおこなってまいりました。
他社と比較して気になったことや、自社の情報を参考にするなど、企業博物館の一社員としての立場から、新しい視点を少しは見出せたのではないかと思っております。

「企業が運営する博物館」は企業ごとの特色があり、その歴史や理念、目的は多岐にわたります。それぞれの違いや、企業の今後の発展にどのように結び付けていくのか、という未来につながる楽しさがあります。この先も企業博物館の多様性や革新的なあり方に期待しています。

さて、せっかくなので初心にかえりまして、第1回目と同様、個人的に珍しいと感じた企業博物館を取り上げたいと思います。

「昭和ミュージアム」
ここでは丸筒をはじめとした株式会社昭和丸筒、および昭和プロダクツ株式会社の製品を展示しています。丸筒とは?と思われた方はラップの芯を想像していただくといいでしょう。他にも飛行機、自動車、医療器具まで、「こんなところに?」と思うような、多彩なところに使われていますので、ご興味のある方はこちらをご参考に。縁の下の力持ちならぬ、円の中の力持ち。製造段階から全工程を紹介している製品もあり、大変興味深いミュージアムです。

「靴下博物館」
そういえば、靴下のはじまりはどんなものだったのだろう。そんな探求心に答えてくれるのが、株式会社ナイガイの靴下博物館。展示室は現在一般非公開となっていますが、オンラインミュージアムとして会社HPで公開しています。気になるのは所蔵品紹介の「おもしろ靴下」にあるフィッシングソックス。一体どんな用途だったのでしょうか…。

それでは長くなりましたが、最後までお付き合いいただきありがとうございました。
今後とも「学芸員室の雑記帳」をよろしくお願いいたします。