学芸員室の雑記帳

オリンピック、記録と感動の記憶

2024年7月26日に開幕したパリオリンピックも、早いもので終盤を迎えています。卓球やバトミントンにおける日本選手の数々の熱戦や、極限まで鍛えメダルを目指すアスリートの躍動する雄姿からは、スポーツそのものの楽しさはもとより、人としての強さがひしひしと伝わってきます。そして、歴史的建造物であるベルサイユ宮殿やエッフェル塔などを舞台にした競技会場からは、町の文化や歴史をも味わうことができ、まさにパリ大会ならではの魅力発信だと感じています。

さて、自分自身にとって一番記憶に残っているオリンピックを振り返りますと、1984年のロサンゼルスオリンピック。競技で言えば、100メートル(9秒99)、200メートル(19秒80)、走り幅跳び(8メートル54)、400メートルリレー(37秒83)の4種目で金メダルを獲得し、「四冠王」に輝いた、カール・ルイスの活躍が、記録とともに脳裏に焼き付いています。そして、開会式で宇宙服を着用しジェットパックを背負ったロケットマンが、スタジアム上空を飛び、円形台に着地した姿は、人間の移動手段の未来予想図ではないかと衝撃を受けた記憶も、40年経過した今でも鮮明に残っています。小学生だった自分は、いつかロケットマンのように飛びたい!そんな気持ちだったのでしょう。

未来を想像させてくれた40年前のロス大会、文化や歴史をも感じさせてくれる今年のパリ大会、競技を取り巻く演出部分は大きく異なりますが、鍛え上げた身体で競い合うオリンピアンが、極限で自らの記録を作り、そして我々に勇気を与えてくれることはいつの時代でも不変です。残す日程は僅かになってしまいましたが、人間の完成に向けて永久に励むオリンピアンのパフォーマンスから最後まで目が離せません。パリではどんなスターが誕生するのか、どんな後世に残る記録、記憶を残させてくれるのか、まだまだ楽しみが続きます。