「ロサンゼルス」と修正を入れるべきか、それとも「ロスアンゼルス」のままなのか…。
現在史料館では、定期刊行物『帝国データバンク史料館だよりMuse』Vol.45の制作に取り組んでいます。先日校正段階に入り、原稿を何度も読み返す時間が増えてきました。誤字脱字のチェックはもちろん、年号や固有名詞が正確な記述になっているかどうか。専門的な内容でも平易な表現になっているどうか。時間を置いて読んでみたり、読む順番を変えたりしながら校正を進めています。なかでも連載企画「輝業家交差点」は、唯一の寄稿論文ということもあり、ご執筆をいただいた先生のご意向に沿いながら、他の原稿との表記統一も行うため、時に迷いが生じることもあります。
次号の輝業家は、日本のセラミック関連産業の発展に大きな功績を残した人物にスポットが当たります。
文中では、「ロスアンゼルスオリンピックが開催された1932(昭和7)年」、常に海外製品との競争を強く意識した輝業家が、機運を捉え「世界の強豪たちに勝ち、日章旗を掲げよう」と従業員を鼓舞したエピソードを紹介しています。調べてみると、外務省などの政府機関や新聞などでは「ロサンゼルス」と表記していますが、官報では「ロスアンゼルス」が外来語表記ゆれの範囲として指定され、検索も可能となっています。
折しも、17日間にわたり熱戦が繰り広げられたパリオリンピックが、8月11日(日本時間12日)に閉幕。閉会式では、4年後の開催地への引継ぎセレモニーが行われ、サプライズで登場した俳優のトム・クルーズさんが、パリからロサンゼルスに五輪旗を運ぶ主演映画さながらの演出に話題が集まっていました。
関連の記事で「ロサンゼルス(Los Angeles)」の名前の由来は、1781年にこの土地に入植した人々が名付けた町の名前が起源となっており、スペイン語で「天使たち」を意味する地名(英語のthe angelsに相当)であることを知り、悩んだ末、次号では「ロスアンゼルス」のまま、残すことにしました。
本題にはほとんど影響のない部分ではありますが、読者の皆さまが、それぞれに何か感じていただける誌面となるよう願いながら…。全文にわたり丁寧に校正を重ね、刊行するまで真摯に制作に取り組みたいと思います。
『帝国データバンク史料館だよりMuse』Vol.45は来月下旬に刊行予定です。
どうぞお楽しみに。