数か月前、フランスの作家サン=テグジュペリが今年、没後80年を迎えたというニュースを見ました。代表作である『星の王子さま』は、宗教書を除くと世界で最も多くの言語に翻訳された書籍として知られ、出版部数は日本だけで600万部、全世界では8000万部にものぼる名著です。また、物語に登場する「大切なものは、目に見えない」という有名な一節は、たくさんの読者の心に残る言葉としてさまざまなところで引用され、今もなお幅広い年代層に愛されています。
さて、「大切なものは、目に見えない」といえば、先日来館した中学生からいただいた感想のお手紙が不意に思い出されました。
「将来、進路を考える時、目に見えるものばかりにならず、直接かかわることのない、目に見えないものにも目を向け、興味をもっていこうと思います。」
「信用を持ち、持たれる人になりたいと思いました。そうすれば企業にとっても人にとっても成長できるということがわかったからです。」
当社が行う「調査」や企業間の「取引」は、中学生の日常生活の中で目に触れるものではありません。また「信用」や「情報」も、形がなく目には見えないものです。解説の際には、信用調査というテーマを紹介する難しさに直面することもありますが、いただいたお手紙から、当館の史料館見学が視野を広げるひとつの機会となったことが分かり、大変うれしく感じました。
来館された中学生は、限られた時間を最大限に活用して、当館見学後も都内を散策し、大いに見聞を広げたようです。将来、修学旅行で得た経験や思い出が、「目に見えない」けれど「大切なこと」になると願って。
引き続き、分かりやすい展示解説ができるよう努力していきたいと思います。