学芸員室の雑記帳

内絵鼻煙壷

先日、たばこと塩の博物館に行ってきました。この博物館は1978年開館で、かつては渋谷区にありましたが現在は墨田区に移転しています。展示室は通常展示室が2つ(たばこの歴史と塩の歴史でそれぞれ1つずつ)と特別展示室の計3つあり、どれもなかなかの広さがあります。通常展示も素晴らしかったのですが、今回は特別展示のことについて書きたいと思います。

現在開催中の特別展示のテーマは「嗅ぎたばこ入れ」。嗅ぎたばこの歴史を紹介するキャプションや嗅ぎたばこを嗜む人たちをテーマにした絵画などとともに、ヨーロッパ・中国を中心に世界の嗅ぎ煙草入れが展示されていました。色も形も素材も様々で数も多く、どれも綺麗で大変見ごたえがありました。

私が特に惹かれたのは中国の内絵鼻煙壷(うちえびえんこ)です。絵を描いていく過程などを紹介する映像(8分くらい)もあり、見入ってしまいました。内絵は小さなガラスの器の中に外側から細い筆で絵を描く技法です。紹介映像では先が曲がった筆を使っていました。内側に描くことで絵を綺麗な状態で長く保てるそうです。本当に小さい器で、しかもとても細かい絵柄のものもあり、絵師の技術力の高さに驚かされました。

内絵鼻煙壷はミュージアムショップでも販売されていました。手描きで、一番小さなものならそれほど高くはありません。欲しくなってしまったのですが、ちょうどいい飾り場所が思いつかず、今回は買うことを断念しました。

この特別展は12月22日までで、もうすぐ終わってしまいます。次回の特別展は「日常をつくる!企業博物館からみた昭和30年代」のようです。当館も企業博物館なので、こちらも興味深いテーマです。