学芸員室の雑記帳

変化の年

「渋沢栄一と信用調査業」の展示は本日まで。学芸員室も仕事納めです。今年の展示は倒産に始まり、渋沢に終わりました。来年はTDBの創業125周年を迎えるにあたり、創業者をテーマにした企画展を準備中です。

先週の雑記帳に引き続き、今年は変化の年でした。明治年間から継続して発行してきた会社録『帝国データバンク会社年鑑』や経済紙「帝国タイムス」の終了は、一つの時代の終わりを感じます。紙からデジタルに媒体は変わっても、本質的には企業データであることに変わりありません。デジタル化した企業資料を長期保存管理していくことは、紙の保存より難しく、史料館の今後の課題です。

TDBがコンピュータを導入したのは1968年。
展示室には、電卓の計算結果を算盤で検算する当時の写真が展示されています(パネル右上)。機械の出す結果が信用できず、算盤で確かめる様子は微笑ましいところですが、今まさにChatGPTが出してきた英訳や要約を検証している様も、似たようなものなのかもしれません。ただ、出典も示さずしれっと嘘を混ぜてくるChatGPTの要約をまだそのまま使うことはできません。数字を扱う電卓とChatGPTでは話も違うかもしれませんが、こんな時代もあったねといつか笑って話せる日が来るのでしょうか。展示原稿の校正にChatGPTも使ってみました。取捨選択して使う分には大変便利です。

変化についていくのは大変ですが、本質を見失うことなく、来年も活動してまいりたいと思います。次回企画展は「創業者 後藤武夫」、TDBの原点を振り返ります。

来年もどうぞよろしくお願いいたします。
皆さまにはよい年をお迎えください。